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リスニングパワー感想

NINJA

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2025/05/03(Sat)08:53

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書き写し

2011/09/23(Fri)15:15

正直、彼女は怖かった。けれど紫のラメで縁取られたその瞳は私だけを見つめ、その言葉は私だけに向けられていた。

私はいつのまにか布団の中にいて、部屋は静まり、まどからはいつかどこかで見たような月が透けていた。枕元にはメイクを落としたアヤさんが膝を崩していて、その頬は月よりも澄み渡り、目が合うと彼女は小さくささやいた。
「今日はもう寝な。なんも考えないで」
私はうなずき、何も考えないで寝ることにした。

思わず「あ」と声煮出したほどだ。みんなの耳には母の「さあねえ」と私の「あ」が、永遠に繋がらない二つの音として残るのだろう。

森絵都 『永遠の出口』 
網野智世子 評価

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